2020-01-01から1年間の記事一覧

可視的なものと不可視的なもの

満員電車の地下鉄に乗る。 私は常に人の視線を感じる。 そして、一定の時間人の視線を感じ続けると、 ある瞬間に、私はあらゆる物質が凝固した不思議な光の世界へ連れ込まれてしまう。 これは、私の特権的なものであると同時に、強制的なものである。 私の意…

歪な三角形

私は結局のところ、私の後ろ姿を後ろから見ているのかもしれない。 目の前に立ちはだかる壁は、大きな鏡なのかもしれない。 その鏡は、私の後ろ姿のみを映している。 だから、私は不安定だ。 私の後ろ姿しか映さないのだから、私は何者なのか、何をしている…

純粋な相互性

前回のテーマ「死角」の続きである。 私(主体)と目の前に立ちはだかる1つの平面から一歩引いたところにいる私(客体)についてである。 私(主体)は私(客体)を見つめ、私(客体)も私(主体)を凝視する。 この2つの視線が交差しながら重なり合い、1つ…

死角

彼女は、彼女の眼では見えぬ一点を見て、凝視している。 私には彼女が見ているものがわかる。 その一点こそ、彼女自身、彼女の身体であり、 彼女の顔であり、彼女の眼である。 この死角ともいえるものは、 見つめている彼女の視線が彼女自身に隠されてしまう…

「私」

「私」という存在は、あとは仕上げの筆を加えれば完成するのだろうか。 それとも、最初の筆すらまだおろされていないのかもしれない。 「私」という存在の核は、不自然にねじ曲がっている。 今、彼女は、画布と液体墨のあいだで固まっている。 筆を持つ手は…